半数以上の塾が1970年代に創業
1970年代後半の「乱塾時代」と言われる頃から、塾業界に異変が起きていると言われています。塾の創業者がそれまでの学校教職者関係から大学在校中の学生や他業種からの転職者に移行していったと言われることです。その原因には、教職関係者の待遇改善や当時大きな問題となっていた大学紛争に嫌気がさした学生たちの大量中途退学や就職難による流入などいろいろ考えられています。これらの時代背景もあり高学歴者が求めた就職先が塾業界というのです。これは単に人がそちらへ流れていったというだけでなく、塾業界の体質が従来の教職者延長線上に存在していたものから、一企業としての「塾(株式会社)」ともいえる体質変化のきっかけになったのでないか、という論調です。これはまさに塾という教育現場の性格を大きく変えるきっかけにもなったと考えられています。この時期が、現在まで延々と続いている「塾業界」のまさに創世期と言えるのかもしれません。現在の塾が、有名講師排出やIT手法の有効利用を可能とした体質変化の原動力となったとも言えそうです。このことは、塾関連企業の2009年時点での株式上場企業の半数以上が1970年代に創業し法人化している、という事実がはっきり物語っています。こういった塾のいわば後発企業が、現在の塾業界を支えていると言っても過言ではないでしょう。市場規模も集計の仕方で若干変わりますが、学習塾・予備校分野で2019年度ほぼ1兆円という規模の業種と言えるまでに着実に拡大していると言われています。その数も全国レベルで1990年代に約5万と言われ、その後バブル崩壊や少子化で横ばいが続きましたが2012年には対前年比で1.5%増にまで拡大している塾業界を形作っていると言ってもいいのかもしれません。